受験生の皆さん、こんにちは!
突然ですけど、等加速度運動の公式って覚えてますか?こんなやつです。
$$ x=x_0+v_0t+\frac{1}{2}at^2 $$
ここで、 \(x\)は求めたい位置、\(x_0\)は最初の位置、\(v_0\)は初速度、\(a\)は加速度、\(t\)は時間でしたね。
「もちろん覚えたよ!」とか「そんなの覚えてられっか!」とか、色々な声が聞こえてきそうですが、ここでは、
等加速度運動の公式は覚える必要なし!\(a\)だけ書ければOK!
という話を、微分と積分の作法を説明したうえで、ざっくりと解説していきたいと思います!
1.微分の作法
最初に、「微分ってなんだっけ?」について答えておきます。ズバリ、
関数を微分するとその傾きが出てくる!
となります。もう少し詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください!
ここでは作法について学びます。
標語的には、
肩の数字をちぎってポイしたら1引く!
となります。例えば、
$$ (\frac{1}{2}x^2)^{\prime}=x $$
という等式が成り立つのですが、これを見てみましょう。
まず、\(x\)の肩に乗っている「2」をポイっとして頭に持ってきます。すると、「1/2」と掛け合わさって消えますね(これが①の説明です)。次に、ポイしたら肩の数字の「2」から1を引きます。するとxの1乗すなわちxとなりますね(これが②の説明です)。以上、非常にいい加減でしたが、微分の作法についての説明を終わります。
最後に、この作法はかなりいい加減な説明でして、「xの何乗」みたいな素直な関数じゃないと成立しませんので、その辺りはご承知おきください。
はい、では繰り返しておきましょう。微分の作法は、
肩の数字をちぎってポイしたら1引く!
でしたね。
2.積分の作法
積分!?といった感じの方はいらっしゃいますか?微分の逆です。
「積分とは面積のことで、、」とかいう説明は世の中の方々が良い説明をして下さっていますので、ここではバッサリ省略してしまって、またまた標語的に、
肩の数字に1足してホイ!、、Cを添えて
ということにしてしまいましょう!それでは、
$$ \int x dx=\frac{1}{2}x^2+C $$
という等式を例に取って、これを見てみましょう。ここで、説明をクリアにするために、\(x=x^1\)としています。
まず、\(x\)の肩に乗っている「1」に1を足すと「2」になります(①の説明)。足したらその「2」をホイっと分母に持っていきます(②の説明)。「分母に」ですよ!そして最後に、「+C」としてCを添えます(③の説明です)。そうすると確かに、 \( \frac{1}{2}x^2+C \) が得られるのが分かりますよね!
ここで、「C」ってなんだよ!という声が聞こえてきそうです。Cは何でもいいんです。例えば1とか100とか、もちろんゼロでも。積分定数と呼びますが、とにかくCは何でもいいんです。このことについては後で触れます。
さて、上述の通り積分は微分の逆なんでしたね。ですので、 \( \frac{1}{2}x^2+C \) を微分すると確かに\(x\)に戻ってくることを説明しましょう。第一項の \( \frac{1}{2}x^2 \)を微分すると\(x\)になるのは上でみましたから良いですよね。あとは、「C」を微分したらどうなるかです。
$$ (\frac{1}{2}x^2 + C)^{\prime}=x $$
がほしいわけですから、「C」を微分したらゼロになってほしいですね。うまくいくでしょうか?
皆さん、ここで\(x^0=1\)という等式をご存じでしょうか?詳しくは説明しませんがこれはお約束です。したがって、
$$ C=Cx^0 $$
となることが分かりますよね。ということは、微分の作法で述べた標語、
肩の数字をちぎってポイしたら1引く!
を当てはめるとxの肩にある0が掛け算されますから、ポイっとして頭に持ってきます。すると、ゼロが掛かるわけですから当然答えはゼロ、つまり\(C^{\prime}=0\)が分かりますよね。したがって、
$$ (\frac{1}{2}x^2 + C)^{\prime}=x $$
が成立します。たしかに、 積分は微分の逆ということがわかりましたね!以上、非常にいい加減でしたが、積分の作法についての説明を終わります。
肩の数字に1足してホイ!、、Cを添えて
上記がここでの重要ポイントでした。
3.位置、速度、加速度の関係について
やっとこの話にたどり着きました。上記では、xの関数について微分と積分の作法を述べてきましたが、ここではtの関数を扱うことにしましょう。といっても、添え字がxからtにかわるだけです。まずは以下のことを頭に入れてください。
- 速度は位置の変化量、すなわち傾きです
- 加速度は速度の変化量、すなわち傾きです
これらはなんというか、こういう風に言葉を決めたと割り切ってください。ここで、「傾き」というワードが出てきましたね。ということは、上記で学んだことを使って、以下のように言い換えることができますね。
- 位置を微分すると速度になります
- 速度を微分すると加速度になります
つまり、微分することで「位置」→「速度」→「加速度」と物理量が変わっていくんですね。なるほど。さらにここで、 積分は微分の逆ということを思い出すと、以下のことが分かります。
- 速度を積分すると位置になります
- 加速度を積分すると速度になります
積分することで「加速度」→「速度」→「位置」と物理量が変わるということです。いよいよ大詰めです。
4.等加速度運動の公式を自分で導いてみよう!
積分によって、 「加速度」→「速度」→「位置」 となるのでしたね。
では、ここでは加速度を\(a\)と呼ぶことにして、これを積分してさっそく速度を求めてみましょう。なお、上で述べたお約束のとおり \(a=at^0\)と考えると分かりやすいです。 すると、
$$ \int a dt=\int at^0 dt=a\int t^0 dt= at+C $$
となるのが分かりますね。\(\int t^0 dt= t\)の箇所がちょっと怪しいですか? 以下の標語を思い出してください。
肩の数字に1足してホイ!、、Cを添えて
肩の数字、すなわちtの肩についている0に1を足して分母に持ってくればいいんですね。だから\(t^1\)が得られるわけです。あと、Cは何でもいいということを思い出して、ここではCではなくて\(v_{0}\)という記号を使ってみることにしましょう。なんでも良いわけですから。したがって、
$$ \int a dt=at+v_{0} $$
が分かります。ですので、
\(a\)を加速度としたとき、
速度は \(at+v_{0} \)と与えられる
ということが分かりました。最後の仕上げです。
速度が\(at+v_{0} \)なのですから、これを積分すれば位置が分かるんですよね。早速やってみましょう!
$$ \int ( at+v_{0} ) dt = a \int t dt + v_{0}\int t^0 dt = \frac{1}{2}at^2 + v_{0}t+C = \frac{1}{2}at^2 + v_{0}t+x_{0} $$
この計算は上で述べたことの復讐ですので、怪しい方はもう一度上を読み返してみてください。最後の\(x_{0}\)は何でもよいCを書き換えただけです。どうでしょう、位置をxと置くと、宣言通り、
$$ x=x_0+v_0t+\frac{1}{2}at^2 $$
を得ることができましたね!したがって、冒頭で述べた
等加速度運動の公式は覚える必要なし!\(a\)だけ書ければOK!
を示すことができました。まとめると結局、
\(a\)を加速度としたとき、
速度は \(at+v_{0} \)と与えられ、
位置は \( \frac{1}{2}at^2 + v_{0}t+x_{0} \)と表される
ということが分かりました!お疲れ様でした!
5.まとめ
本記事では「等加速度運動の公式」を自分で導くことを目的に、以下のことを述べてきました。
- 微分の作法:肩の数字をちぎってポイしたら1引く!
- 積分の作法:肩の数字に1足してホイ!、、Cを添えて
- 積分によって「加速度」→「速度」→「位置」と物理量が変わる
- 等加速度運動の公式は覚える必要なし!
皆さんの参考になれば幸いです!それではまた!