【非効率が正義!?】省庁の目的と行動原理【企業との比較】

こんにちは、めだかです!

前回、久しぶりに再会した省庁勤めの友人より、その方の職場環境が非効率であることを嘆いていた話をシェアした上で、その違いは「目的」が違うためであろう、という推論をさせていただきました。

今回、ドラッカーの「マネジメント」を読み直していたところ、この辺りの話がスッキリ分かる記述がありましたので、その点を嚙み砕いて私なりの言葉で記してみたいと思います。

タイトルにもある通り、省庁では「非効率が正義」になります。悪いことに聞こえるかもしれませんが、これにはちゃんとした理由があっての帰結なんですよということを分かりやすくお伝えしたいと思います。

本記事は、

  • 官僚を志しているけれど迷いがある方
  • 行政機関と営利企業の職場環境の違いに触れてみたい方

にとって、有益な内容になっていると思いますので、参考にしていただければ幸いです。それではよろしくお願いします!

1.省庁と企業それぞれの目的

省庁と企業とで行動が違うということは、それぞれの目的が異なるということです。前回は、以下の仮説、

目的(前回):
 行政機関(省庁)=公益
 営利企業(企業)=利益

のもとにロジックを展開してみましたが、これをもっと具体的に表現することによって理解を深めてみたいと思います。

まず、両者の目的が異なるそもそもの根源ですが、これは両者が受け取る支払方法の違いが要因になっています。すなわち、省庁は税金が元手になっていて、そこから予算が割り振られるという支払方法になっていますよね。次に企業ですが、これは製品やサービスを顧客のもとに届けて対価を得るわけです。すると、両者の目的は以下のようにアップデートできると思います。

目的(アップデート版):
 行政機関(省庁)=予算の獲得
 営利企業(企業)=顧客価値の実現

このように、前回とは目的の定義を変えることで分かりやすく論理展開できることを発見しましたので、上記目的を基にして、省庁と企業それぞれの行動原理を明らかにしていきましょう。

2.省庁と企業それぞれの行動原理

まずは分かりやすい企業からいきます。
企業は、「目的=顧客価値の実現」ですから、これを基に行動原理たる目標と戦略・戦術を紐解いてみましょう。

まず目標、すなわち誰をターゲットにして活動するのかといった点ですが、これはもちろん、不特定多数の「顧客」ということになります。特定の誰かではないことは明白ですね。なお、マーケティング手法ではSTPといってセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングを定めるのですが、省庁との違いを考えるのが本記事のメインですので、ここでは割愛します。

次に戦略・戦術です。戦略というのはリソース配分の選択のことですから、その企業が強みを発揮できる領域にリソースを集中的に投じる、つまり「選択と集中」が基本になります。そして戦術としては、目的である顧客価値の実現に向けて、生産性/効率性を向上する必要があります。というのは、生産性/効率性を高めることは、より安くて良いものを顧客に提供できることを意味するからです。

ここまでを一旦まとめます。戦略論的には抽象度が高くて使えないですが、あくまで省庁と比較するためのものですので、ご容赦ください。

企業:
 目標(ターゲット)=顧客(特定の人物ではない)
 戦略=選択と集中
 戦術=生産性/効率性を高める

次に省庁です。
省庁は、「目的=予算の獲得」ですから、企業の場合と同様にしてここを起点に目標と戦略・戦術を導いてみましょう。

まず目標ですが、これは予算配分を決めるお役人さんということになりますね。つまり省庁の「幹部」、特定の人物になります。ちなみに友人の話によると、幹部の交代は1~2年程度でサイクルするそうで、その度に方針が変更になることが多いとのことで、目標の変化に伴う行動の変化もサイクルが早いのだそうです。

次に戦略・戦術です。繰り返しますが、省庁では「目的=予算の獲得」ですから、予算をたくさん獲得するための理由が必要です。つまり、戦略としては集中してはならない、「あれもこれも」全て満点でやります、というのが答えになります。そして、戦術としては、予算の獲得という目的を達成するためには、たくさんの人員が必要ですということが言えなければなりませんので、一人一人の業務時間は長ければ長いほど望ましいということになります。つまり、「非効率」であることが戦術の正解ということになります。

まとめますと、以下のようになります。

省庁:
 目標(ターゲット)=省内幹部(特定の人物、サイクル早い)
 戦略=あれもこれも
 戦術=非効率に実行

はい、省庁と企業とでそれぞれの行動原理が見事に真逆になりましたね!

ここでお伝えしたかったのは、どちらが優れているとか善悪の話ではなく、目的が異なることによって、それぞれの正義が異なる、つまり行動原理が異なるということです。

前回、省庁勤めの友人から聞いて私が驚いたこととして、「誰が言ったかが重視される文化」、「人員余り」、「過少スペックPC」、「紙資料文化」を取り上げさせていただきましたが、かなり納得がいきました!

3.まとめ

省庁と企業は目的が異なるので、それぞれの正義が異なります。これは善悪ではなく、ただ単に違うというだけの話です。私は企業勤めですので、当初は省庁勤めの友人の話が理解できなかったのですが、今回のように整理することでだいぶスッキリしました。皆さんはいかがだったでしょうか?

それぞれの目的と行動原理(目的から導かれる目標、戦略、戦術)を再掲します。

目的:
 行政機関(省庁)=予算の獲得
 営利企業(企業)=顧客価値の実現

省庁の行動原理:
 目標(ターゲット)=省内幹部(特定の人物、サイクル早い)
 戦略=あれもこれも
 戦術=非効率に実行

企業の行動原理:
 目標(ターゲット)=顧客(特定の人物ではない)
 戦略=選択と集中
 戦術=生産性/効率性を高める

なお、冒頭で申し上げました通り、本記事はドラッカーを読み直して得たものを自分の言葉に置き換えたものですので、是非元ネタの方も読んで頂けると幸いです!!

それでは最後まで読んで頂きありがとうございました!