こんにちは、めだかです!
今日は理系専攻の方なら多くの方が知っている「物理数学の直観的方法」を紹介したいと思います。
非常に平易な言葉で、読み進めていくうちに物理数学の本質まで連れて行ってくれる不朽の名作と思っています。
本記事では、
- 理系専攻の1、2年生
のみならず
- 数学に興味のある高校生や会社員の方々
を対象に
- 「物理数学の直観的方法」の素晴らしさの一端を紹介
することを目的としています。最後までお付き合いいただけると幸いです!
1.物理数学の直観的方法ってどんな本?
本書のタイトルのとおり、「物理数学」を直観的に伝えるための参考書なんですが、とにかく説明の切り口が独特で、且つ非常に分かりやすいです。
予め知識を備えた人が読んでも、「なるほど!そういう理解の仕方があったのか!!」と驚く内容になっています。
本書が発売されたのは1987年で、それ以来ずーっと読み継がれているのも納得なんです!
全10章構成で、「1. 線積分、面積分、全微分」「2. テイラー展開」「3. 行列式と固有値」「4. exp(iπ)=-1の直観的イメージ」「5. ベクトルのrotと電磁気学」「6. ε-δ論法と位相空間」「7. フーリエ級数・フーリエ変換」「8. 複素関数・複素積分」「9. エントロピーと熱力学」「10. 解析力学」となっています。
紹介に当たって説明をそのまま持ってくるのは良くないので、以降では読むことでどんな印象を受けるのか、といった点にフォーカスして記していきたいと思います!
2.微積分からテイラー展開の辺り
1章から2章ですね。
ここではまず、一般的なグラフ(関数)は細かいブロックを積み上げたようなものであり、このブロックの増減は微分と見せる、という易しい説明から始まります。
そして、これらブロックの増減を足し合わせた面積は元のグラフ(関数)になります。はい、これが微分と積分の関係です、といったことを最初の3ページで説明してくれます。
とても不思議な説明なんですけど、今まで聞いたことがなく、すんなり頭に入ってきた記憶があります。すごいですよね。ん?と思われた方もいらっしゃると思いますので、ぜひ読んで頂きたいです。
さらに話はつづき、グラフのある点\(x_{0}\)での値\(f(x_{0})\)が分かっていたとして、そのすぐ隣\(h\)での値\(f(x_{0}+h)\)はいくらしょうか?という問いに対して、またブロックの話題で説明を続けます。
この辺りの説明が実に軽妙で、ブロックをどんどん細かくしていくと¥(f(x_{0}+h)\)の中に含まれるhの項が2乗、3乗と上がっていき、いつの間にか見慣れたテイラー展開が得られるという仕掛けになっています。
あれ?テイラー展開の証明ってどうやって習ったんだっけ?というくらい、他には類を見ないオリジナルな説明に感動すら覚えます。
3.オイラーの公式の辺り
4章ですね。
おそらく本書で最もファンの多い箇所であろうと思うのがこの章です。
$$ e^{i \pi}=-1 $$
という数学史上最も美しい式の一つについて、e≒2.71、π≒3.14という数値なのは知っているけど、それよりも虚数単位のiって何?という問いを、船の動きを例に取りつつ、2次元座標を使って見事に表現してくれています。
4.行列の固有値と三体問題の辺り
3章と後記ですね。
個人的にはここら辺の議論が最も役立ったと感じた箇所になります。
正直、3章にある固有値の辺りの説明は他の書物でも良い説明は多いのですが、3章を前置きとしてちょっとマニアックな三体問題に踏み込んだ辺りがとても楽しかったですね。
そして、行列の対角化を基にした行列ANの表現法はワクワクさせてくれました!行列Aを対角化する際に出てくる固有ベクトルからなるPという行列が出てくるんですが、これを使うとA=P-1ΛPと表現されます。
そうすると、AN=P-1ΛPP-1ΛPP-1ΛPP-1ΛPP-1ΛP…=P-1ΛNPとなって、「ほら、ANは概ね固有値で表現できるでしょ?」というわけです。
私はこのころ、周期構造を解析的に解くという課題設定をしていて、とても興奮したのを覚えています。ちなみに周期構造というのは、単位的な要素をたーくさん並べることで人の役に立つような効能を得ようという構造体のことです。
その問題は、未だこの手法では解けていないのですが、思い出したらまたチャレンジしても面白いかなと感じています。
5.まとめ
少し懐かしい気持ちに浸りながら、不朽の名作「物理数学の直観的方法」を紹介させていただきました!
- 理系専攻の1、2年生
- 数学に興味のある高校生や会社員の方々
を対象に
- 「物理数学の直観的方法」の素晴らしさの一端を紹介
したつもりでしたが、参考になれば幸いです!